一人一人に寄り添った授業づくり
~学習内容の習熟と学級の理解状況の把握に~

山口県下関市立養治小学校
山口県下関市立養治小学校
 養治小学校では、「すべての子ども達の笑顔のために凡事徹底」を掲げ、ICTの効果的な活用による学力向上と地域の特色である海峡学を両輪に、ふるさとを語れる児童の育成を目指しています。今回は、ラインズeライブラリを授業づくりで活用した実践と児童のアンケート結果をご紹介します。
学年 小学校、小6、
教科・単元 算数・数学、
利用画面 授業、授業・導入、授業・展開、授業・まとめ、
内容 デジタルドリルカード帳授業支援教材指定学習・一斉学習

一斉指導後は、授業支援機能で到達度を確かめる

算数

6年:

場合を順序よく整理して
日本の森林面積は?「どんな計算になるのかな」

▲授業支援機能で出題された問題を解く
 この日は、「分数の乗除の立式」の1時間目です。教科書の演習問題に取り組んだ後、授業支援機能を活用しました。「ラインズeライブラリは、学習内容の習熟と学級の理解状況の確認がねらいです」と福田先生。「今から皆さんのタブレットに問題を出します」というかけ声と同時に問題が出題されます。児童は、ノートや教科書で解き方をふりかえりながら真剣に取り組んでいました。

授業の流れ

めあて・学習課題の提示
めあてと学習課題を確かめる。
個人ワーク
地図帳やインターネットで森林面積の広い地域を調べる。
問題の解説
Google Earthで学校の広さを基に、各県の森林面積を比較する。
教科書の演習問題
教科書の演習問題に取り組み、考え方と解き方を全体に共有する。
到達度確認・復習
ドリルを一問出題して理解状況を確かめ、解き方を解説する。

スムーズな授業進行のために、テンプレートに問題を登録

▲セクションごとに登録したテンプレート
 「テンプレートに問題を登録しておくと、問題選びに時間がかからず、意図した問題をスムーズに出題できるので、安心して利用することができます」と福田先生。指導後、出題する問題をセクションごとに振り分け、ポイントを記入することで、さらに選びやすくしています。この工夫が時間短縮となり、スムーズな授業進行につながっています。本時でもテンプレートから、ねらいに沿った問題を効率よく出題していました。

計算式を画面に書き込み、答えを求める

▲学習メモで画面に立式する
 計算問題は、学習メモを使って画面に立式することが習慣化されています。児童は、問題文をよく読み、計算に必要な情報を集めていきます。そして、分数のかけ算とわり算の式を立て、筆算をしながら順序立てて問題を解いていました。正解した児童は、うれしそうな表情をしており、つまずいた児童は、先生の解説を待ちわびているようでした。
▲学習メモの例

解答状況を見取り、一人一人に寄り添った机間指導

▲解答状況を確かめ、個別指導をする
  福田先生は、児童が取り組んでいる間に、理解度チェックモニタから、解き終わっていない児童を確かめ、直接声かけをしていきます。「問題をよく読んでからもう一度考えてみましょう」「はじめにいくらあったかを求めてみよう」など、一人ひとりのつまずきに寄り添って、きめ細かな指導をしていました。また、解答状況の途中経過を全体に伝えることで、友達同士で解き方の教え合いが始まり、つまずいた児童からは「あっ!そういうことか」と気づきの声も上がってきました。

問題と解答解説を読み合わせ、理解を深める

▲「解答解説」で全体に解き方を解説する
 全員が解き終わると、福田先生は、理解度チェックモニタからつまずきの傾向を確認し、大型モニタに映した「解答解説」で解説します。「始めにいくらあったかが大事です。ここを□にして計算していきます」と図を使いながら視覚的に解説を進めていきます。児童からは「もともとの金額から計算するのか」「もとの金額の求め方はどうするんだっけ」など新たな気づきが生まれ、より理解が深まっているようでした。

学ぶ楽しさが、継続的な学習意欲へつながる

養治小学校の児童に、ラインズeライブラリについてのアンケートに協力いただきました。
回答者:3年~6年65名

 授業が始まる前にドリルで学習している児童がいました。「メダルがもらえた!」「イラストが変わった!」とうれしそうな声が聞こえてきました。この達成感が日々の継続的な学習意欲につながっているようでした。
 
▲メダル獲得の様子(左)/植物の成長の様子(右)
 

▼児童の感想より

  • メダルで植物が変わるのが楽しみです。(3年)
  • 勉強すればするほどレベルが上がるのが楽しいです。(4年)
  • みんなとレベルを勝負できて楽しいです。勉強もはかどるので、学習回数が増えました!(5年)

一人一人の苦手と得意をバランスよく伸ばす

▼児童の感想より

  • わからない問題は、解説を見て解けるようになった事が良かったです。(6年)
  • カード帳や苦手・得意を教えてくれる機能が便利です。紙の計算ドリルと違って、得意がわかるし、勉強すると植物が育つので、どれくらい勉強したかがわかって嬉しいです。(6年)

考察 児童自身が「できた!」を実感 福田 真也先生

 アンケートの結果を総合的に見てみると「学習が楽しくなった」「苦手が少なくなり、わかるようになった」という声が多く、学習の積み重ねが、全国学力・学習状況調査に表れていることを児童自身も実感しています。特に、苦手なところがわかるようになったのは、学習結果に応じてナビゲーションされる教材に、積極的に取り組んでいるからだと思います。
 今後は、児童の学習結果や取り組む姿勢を学習評価に生かしていきたいと考えています。各担任によって、ラインズeライブラリの位置づけはさまざまなので、見取り方を模索していきたいです。

使いやすい場面からはじめることで、日常使いにつながる

▲いろいろカード帳で計算の反復練習をする
養治小学校では、授業のさまざまな場面で活用しています。(以下の様子は、2022年度導入当初に取材したものです)
授業の導入:いろいろカード帳
 この日、福田先生は、全体で小数の計算を復習後、いろいろカード帳を使い、計算の反復練習をしていました。「一番速く答えたい」という気持ちから、児童の集中力はどんどん高まっていきました。
▲ドリルで本時の学習内容の定着を図る
授業の終末:一斉単元学習
 まとめの時間は、本時の学習内容の復習・定着にドリルを活用していました。児童が自分の理解度に合った教材で学習できるように、一斉単元学習を使い、教材を選択します。教材や難易度を自己選択・自己決定しながら取り組めるため、自分のペースで主体的に取り組む姿が見られました。

インタビュー

ICTを効果的に活用した学力向上と探究する体験活動を両輪に
校長
舩木 美弘 先生
 本校では、『何をするのではなく、何のためにするか』を中心に考え、「学力向上」「特別支援教育」「わくわくふるさと海峡学」の3つの柱を軸に学校経営を行っています。学力向上と特別支援教育の柱では、確かな学力の定着のためにICTを活用しており、ラインズeライブラリのAI型ドリルは、徹底した学び直しのツールと位置づけ、授業はもちろん、特別支援学級の学び直しでも活用しています。また、わくわくふるさと海峡学の柱では、全学年がテーマをもって、「海洋、歴史・文化、自然・郷土を探究する体験活動」を通じて、豊かな表現力やコミュニケーション力、情報発信力を育てています。ICTを効果的に活用した学力向上と探究する体験活動を両輪に、自分の言葉でふるさとの自慢を語れることを目指し、全職員と地域が切磋琢磨(せっさたくま)しながら児童の学びを支えています。

インタビュー

基礎基本の定着が必要な児童の個別指導と授業づくり
6年担任 福田 真也 先生
 児童によって学習進度や理解状況はさまざまです。そのため、学習進度の速い児童が主体的に学習を進められ、基礎基本の指導を必要としている児童に直接関わり、個に応じた指導をできる環境に整えたいと考えていました。ラインズeライブラリは、問題数が豊富な上、自分で難易度を選んで取り組めるため、学習進度の速い児童が主体的に学習するツールとして最適な教材と感じています。
 職員も授業づくりをするときに、どのようにしたらラインズeライブラリを効果的に活用できるかを意識しています。今では活用の幅も広がり、5・6年では異学年交流の一環として、協働朝学習でもドリルやいろいろカード帳を活用するようになりました。継続的に活用することで、全国学力・学習状況調査にも前向きな変化が表れています。