~1年生と4年生、それぞれの実践から見える学びのかたち~
和歌山市立松江小学校
和歌山県和歌山市活用レポート(後編)

和歌山市立松江小学校では、1年生と4年生という異なる発達段階において、ラインズeライブラリを活用した実践研究を実施してきました。本レポートでは、1年生担任・岩橋紀実先生、4年生担任・野口真那樹先生へのインタビューを通して、端末スタートアップ時の工夫、学びや教師の見取りの変化、業務負担の体感についてなど、具体的なラインズeライブラリの実践とともに紹介します。
| 学年 | 小学校、小1、小4、 |
|---|---|
| 教科・単元 | 算数・数学、 |
| 利用画面 | 授業、授業・導入、授業・展開、授業・まとめ、授業準備、帯時間、 |
| 内容 | デジタルドリル、自由学習、プリント、確認テスト、自動個別課題、教材指定学習・一斉学習、 |
1.実践成果①【1年生】端末スタートアップカリキュラムにおける工夫

▲左:1年生担任 岩橋 紀実 先生 右:4年生担任 野口 真那樹 先生
Q.端末スタートアップカリキュラム(※1)で、特に工夫された点は何ですか。

▲端末スタートアップカリキュラムの内容

▲端末活用トレーニングの一例
岩橋先生
慣れるまでは、子どもと「同じ画面を見る」ことを大切にしました。子どものタブレットと同じ画面を電子黒板に映し、教師が操作しながら、「ここを押してね」「同じ画面になったら、いったん止まろう」「次はここだよ」というように、一緒に操作を進めていく形です。 1回目、2回目くらいまでは、カーソルを大きく表示して、かなり丁寧に進めました。でも3回目になると、具体的な指示をほとんど出さなくても、「ここ」「ここ」と声をかけるだけで、1年生の子どもたちが自然についてくるようになりました。
慣れるまでは、子どもと「同じ画面を見る」ことを大切にしました。子どものタブレットと同じ画面を電子黒板に映し、教師が操作しながら、「ここを押してね」「同じ画面になったら、いったん止まろう」「次はここだよ」というように、一緒に操作を進めていく形です。 1回目、2回目くらいまでは、カーソルを大きく表示して、かなり丁寧に進めました。でも3回目になると、具体的な指示をほとんど出さなくても、「ここ」「ここ」と声をかけるだけで、1年生の子どもたちが自然についてくるようになりました。
Q.4年生との交流について、具体的に教えてください。
岩橋先生
松江小学校では、1年生が上級生に教えてもらう「ペア学習」があります。掃除の仕方や給食の片付け方を入学してから1~2週間の間に教えてもらうように、端末の使い方も4年生に来てもらいました。4年生がマンツーマンでログイン練習を何度も一緒にやってくれました。
松江小学校では、1年生が上級生に教えてもらう「ペア学習」があります。掃除の仕方や給食の片付け方を入学してから1~2週間の間に教えてもらうように、端末の使い方も4年生に来てもらいました。4年生がマンツーマンでログイン練習を何度も一緒にやってくれました。
Q.1年生にとって端末サインインのハードルは高いと思いますが、どう対応されましたか。
岩橋先生
タイピングは必要最低限のことができるようにしました。完璧でなくてもいいので、「パスワードと数字入力」だけに絞ってトレーニングしました。
タイピングは必要最低限のことができるようにしました。完璧でなくてもいいので、「パスワードと数字入力」だけに絞ってトレーニングしました。
Q.本日の授業見学の際、全員がスムーズに操作していてすごいなと思いました。端末操作スキルの個人差は、どう対応されましたか。
岩橋先生
早く慣れてしまった子に「教えてあげて」と声をかけました。端末管理ツールでクラス全体のタブレットの画面が表示されるのでそれを確認しながら、「○○さん、隣の子をちょっと見てあげて」と、状況に応じて声をかけていました。コツコツ続けて、不慣れな子を一人ずつ減らしていった、という感じです。
早く慣れてしまった子に「教えてあげて」と声をかけました。端末管理ツールでクラス全体のタブレットの画面が表示されるのでそれを確認しながら、「○○さん、隣の子をちょっと見てあげて」と、状況に応じて声をかけていました。コツコツ続けて、不慣れな子を一人ずつ減らしていった、という感じです。

▲子ども同士で助け合う様子
他に意識されていたことはありますか。
岩橋先生
慣れるまでは、一つの操作手順に集中させました。お絵描きも、カメラも、となると、「カメラどこだっけ?」「お絵描きどこ?」 のように混乱してしまいます。最初の頃は、タブレットを開いたら、ラインズeライブラリしか開けない状態でしたが、少しずつ「ここからはこんなこともできるよ」と活用の幅を広げていきました。
慣れるまでは、一つの操作手順に集中させました。お絵描きも、カメラも、となると、「カメラどこだっけ?」「お絵描きどこ?」 のように混乱してしまいます。最初の頃は、タブレットを開いたら、ラインズeライブラリしか開けない状態でしたが、少しずつ「ここからはこんなこともできるよ」と活用の幅を広げていきました。

▲ドリル学習後の画面
2.実践成果②【4年生】半年間の研究で見えた子どもの変化
Q.約半年間の研究実践の中で、どのような変化を感じられましたか。
野口先生
一番大きかったのは、教師としての「見取りの質」が変わったことです。授業支援システムを使うことで、普段はなかなか自分の考えを伝えるのが苦手な子も、自分の意見を表出できるようになりました。また、学習が苦手な子どもは、人知れず他の人の考え方を参考にしたり、普段あまり関わりのないクラスメートの意見を知ったりするなど、これまでとは違う学びの関係性が多く見られるようになりました。
一番大きかったのは、教師としての「見取りの質」が変わったことです。授業支援システムを使うことで、普段はなかなか自分の考えを伝えるのが苦手な子も、自分の意見を表出できるようになりました。また、学習が苦手な子どもは、人知れず他の人の考え方を参考にしたり、普段あまり関わりのないクラスメートの意見を知ったりするなど、これまでとは違う学びの関係性が多く見られるようになりました。

▲交流マップの様子(誰が誰と交流したのかをグラフで表示)
Q.振り返りAI分析機能による学びの変化はどういったものでしょうか。
野口先生
振り返りAI分析機能については、子どもたちは本当に喜んでいました。文章が「事実」「考察」「結論」などの観点に自動で分類され、書いた直後にフィードバックが返ってきます。それがうれしくて、例えば、主語・述語といった文章構成を意識して書くようになり、感想の量だけでなく、振り返りの質が高まったと感じています。
振り返りAI分析機能については、子どもたちは本当に喜んでいました。文章が「事実」「考察」「結論」などの観点に自動で分類され、書いた直後にフィードバックが返ってきます。それがうれしくて、例えば、主語・述語といった文章構成を意識して書くようになり、感想の量だけでなく、振り返りの質が高まったと感じています。

▲授業の振り返りを共有している様子
Q.ラインズeライブラリを使う中で、子どもたちの学習への向き合い方に変化はありましたか。
野口先生
かなり変わったと感じています。積み重ねが大事だなということをとても感じました。当初は、「間違いたくない」「できないと思われたくない」といった気持ちからか、低学年の内容や基本問題ばかりに取り組む子もいましたが、今ではかなり減っています。当該学年の内容に取り組んだり、やり直し機能を使って100点になるまで粘り強く取り組んだりする姿が多く見られるようになりました。また、当初懸念していた「よく考えずに答える」という姿勢についても改善傾向が見られています。
かなり変わったと感じています。積み重ねが大事だなということをとても感じました。当初は、「間違いたくない」「できないと思われたくない」といった気持ちからか、低学年の内容や基本問題ばかりに取り組む子もいましたが、今ではかなり減っています。当該学年の内容に取り組んだり、やり直し機能を使って100点になるまで粘り強く取り組んだりする姿が多く見られるようになりました。また、当初懸念していた「よく考えずに答える」という姿勢についても改善傾向が見られています。
Q.どうやって改善傾向を把握されたのでしょうか。
野口先生
学習ログです。ラインズeライブラリの「1問に何分かけて解いたか」という記録を見ると、 最初は平均1~2分だったのが、最近では考える時間が延びている子が増えています。半年間の取り組みを通して、じっくり考える姿勢が育ってきたと実感しています。こうした変化を一部の子どもだけのものにしないためにも、今後は学級全体の中で価値づけていきたいと考えています。
学習ログです。ラインズeライブラリの「1問に何分かけて解いたか」という記録を見ると、 最初は平均1~2分だったのが、最近では考える時間が延びている子が増えています。半年間の取り組みを通して、じっくり考える姿勢が育ってきたと実感しています。こうした変化を一部の子どもだけのものにしないためにも、今後は学級全体の中で価値づけていきたいと考えています。

▲1問あたりにかける時間の変化イメージ
3.デジタルテスト「確認テスト」の効果的活用
Q.確認テストは、どのような場面で活用されていますか。
野口先生
主にペーパーテストの前に使っています。昼食後の帯タイムにある20分ほどの時間を活用しています。その際、子どもの理解度に応じて難易度が変わるAI型ドリル機能も使っていました。
主にペーパーテストの前に使っています。昼食後の帯タイムにある20分ほどの時間を活用しています。その際、子どもの理解度に応じて難易度が変わるAI型ドリル機能も使っていました。
Q.子どもがラインズeライブラリに取り組んでいる最中、先生はどんな活動をされているのでしょうか。
野口先生
日頃の指導の中での見立てがあるので、まずはその子の様子は注視しますね。その際に見立てと実際の学習ログが合致するようであれば、個別フォローの優先度が上がります。時間がたてばクラス全体で学習進捗のログがたまっていくので、その画面はこまめに確認し、個別フォローをしながらも「次はあの子のところに行こうかな」「その次はこっちかな」というような 目処をたてられたのが良かったです。実際に普段は高得点を出せる子が、ある単元では全く分からなかったようで・・・。ただそこを見逃さずにすぐに個別対応できたので、学習データを子どもへのフィードバックのデータとしても使っていますね。
日頃の指導の中での見立てがあるので、まずはその子の様子は注視しますね。その際に見立てと実際の学習ログが合致するようであれば、個別フォローの優先度が上がります。時間がたてばクラス全体で学習進捗のログがたまっていくので、その画面はこまめに確認し、個別フォローをしながらも「次はあの子のところに行こうかな」「その次はこっちかな」というような 目処をたてられたのが良かったです。実際に普段は高得点を出せる子が、ある単元では全く分からなかったようで・・・。ただそこを見逃さずにすぐに個別対応できたので、学習データを子どもへのフィードバックのデータとしても使っていますね。
Q.従来の復習方法と比べて、違いはありましたか。
野口先生
以前は自主学習ノートで復習させていましたが、「じゃあ、やってきて」と言っても、間違えた問題を書き写すだけで終わってしまう子もいました。ラインズeライブラリなら、解いたらすぐに答えが分かり、理解度に応じた問題で復習できるので、有効に使えていたかなと感じています。
以前は自主学習ノートで復習させていましたが、「じゃあ、やってきて」と言っても、間違えた問題を書き写すだけで終わってしまう子もいました。ラインズeライブラリなら、解いたらすぐに答えが分かり、理解度に応じた問題で復習できるので、有効に使えていたかなと感じています。
Q.1年生では、確認テストをどのように活用されていますか。
岩橋先生
1年生も昼学習の時間にやっていました。今まではプリントを刷って、早く終わった子を飽きさせないようにだいたい3枚用意していたのですが、そこをラインズeライブラリに置き換えました。確認テスト後はラインズeライブラリが「ここが苦手だよ」と示してくれるので、たとえば、私からも子どもに「間違えたところと同じような問題を練習してみよう」と声をかけ、すると子ども自身も「ここをやったほうがいい」と考えて取り組む姿が見られるようになりました。
1年生も昼学習の時間にやっていました。今まではプリントを刷って、早く終わった子を飽きさせないようにだいたい3枚用意していたのですが、そこをラインズeライブラリに置き換えました。確認テスト後はラインズeライブラリが「ここが苦手だよ」と示してくれるので、たとえば、私からも子どもに「間違えたところと同じような問題を練習してみよう」と声をかけ、すると子ども自身も「ここをやったほうがいい」と考えて取り組む姿が見られるようになりました。

4.業務負担軽減の観点から見た活用ツールの評価
Q.ラインズeライブラリを用いた教材準備の負担感はいかがでしょうか。
野口先生
ラインズeライブラリは教材が細かく分かれて、学習範囲が選びやすいです。小単元名をみて「今日はここをやってみようかな」と判断してから、基本問題を5問ほど確認して学習範囲を決められる点が便利だと思います。
ラインズeライブラリは教材が細かく分かれて、学習範囲が選びやすいです。小単元名をみて「今日はここをやってみようかな」と判断してから、基本問題を5問ほど確認して学習範囲を決められる点が便利だと思います。
Q.他にもございますか
野口先生
AI型ドリルだけでなくプリント教材も充実しているのが良いです。学校にあるプリント集は古く、今の教科書と対応していないものも多いので、「この単元のどれだろうか?」と探すのに時間がかかっていました。その点、単元ごとに整理されているので、「今日、このプリントはいけるな」とすぐ判断できます。そのまま印刷して使用することはもちろん、筆算のように紙に書いた方がいい単元では、PDFの問題を子どもに配信して、解くのはノートに書かせるなど、学習内容に合わせて柔軟に使っています。
AI型ドリルだけでなくプリント教材も充実しているのが良いです。学校にあるプリント集は古く、今の教科書と対応していないものも多いので、「この単元のどれだろうか?」と探すのに時間がかかっていました。その点、単元ごとに整理されているので、「今日、このプリントはいけるな」とすぐ判断できます。そのまま印刷して使用することはもちろん、筆算のように紙に書いた方がいい単元では、PDFの問題を子どもに配信して、解くのはノートに書かせるなど、学習内容に合わせて柔軟に使っています。

5.2nd GIGAを見据えて
Q.先生方の話を伺い、あらためて有効に活用実践されているなと思いました。一方で、先生が持つノウハウを学校全体に広げていくことの困難さが、全国的にも課題になっています。この点についてどのようにお考えですか。
野口先生
正直なところ、子どもの操作スキルよりも、大人のほうがハードルは高いと感じています。子どもたちはすぐに覚えるのですが、大人はどうしても「苦手意識」や「嫌悪感」を持ってしまうことがありますよね。校内でお互いの実践を見る機会が少ないので、「何ができるのか」「どれくらい便利なのか」分からないことが多いですし、その結果、従来のやり方にこだわり続ける先生もいらっしゃると思います。本当は、隣のクラスに行って実際の授業を見てもらうのが一番だと思いますが、そうする時間がなかなか取れないのも現実です。
正直なところ、子どもの操作スキルよりも、大人のほうがハードルは高いと感じています。子どもたちはすぐに覚えるのですが、大人はどうしても「苦手意識」や「嫌悪感」を持ってしまうことがありますよね。校内でお互いの実践を見る機会が少ないので、「何ができるのか」「どれくらい便利なのか」分からないことが多いですし、その結果、従来のやり方にこだわり続ける先生もいらっしゃると思います。本当は、隣のクラスに行って実際の授業を見てもらうのが一番だと思いますが、そうする時間がなかなか取れないのも現実です。
Q.先生方の間で、ICTの活用差を感じることはありますか。
野口先生
ありますね。どんどん使う先生と、そうでない先生との差はどうしても出てきます。 ただ、子どもが使い始めると、それをきっかけに先生の意識も変わっていく、という感覚もあります。 例えば、教科担任制の場合は、一人の先生がその学年の同じ教科をすべて指導するので、 その先生が使えば子どもは毎回使いますし、 逆に使わなければ、まったく使わないという状況にもなります。 だからこそ、子ども発信で広がっていくという流れも、とても大事だと思っています。
ありますね。どんどん使う先生と、そうでない先生との差はどうしても出てきます。 ただ、子どもが使い始めると、それをきっかけに先生の意識も変わっていく、という感覚もあります。 例えば、教科担任制の場合は、一人の先生がその学年の同じ教科をすべて指導するので、 その先生が使えば子どもは毎回使いますし、 逆に使わなければ、まったく使わないという状況にもなります。 だからこそ、子ども発信で広がっていくという流れも、とても大事だと思っています。
Q.岩橋先生から最後に、低学年を担任している先生へメッセージをいただけませんか。
岩橋先生
子どもたちは本当に楽しんでやりますし、思っているより、飲み込みはすごく早いです。なので、まずは「とりあえずやらせてみる」ことが大事かなと思います。1年生である以上、最初の1回~2回はうまく使えないのは仕方ないです。そこを割り切って乗り越えさえすれば、子どもたちのほうから「勉強したい」につながっていきます。今では 「ラインズeライブラリやっていい?」と、よく聞いてくれるようになりました。「そこを乗り越えた先に…!」という気持ちが大切だと思います。
子どもたちは本当に楽しんでやりますし、思っているより、飲み込みはすごく早いです。なので、まずは「とりあえずやらせてみる」ことが大事かなと思います。1年生である以上、最初の1回~2回はうまく使えないのは仕方ないです。そこを割り切って乗り越えさえすれば、子どもたちのほうから「勉強したい」につながっていきます。今では 「ラインズeライブラリやっていい?」と、よく聞いてくれるようになりました。「そこを乗り越えた先に…!」という気持ちが大切だと思います。
Q.最後に、ラインズeライブラリに今後期待することを教えてください。
野口先生
ラインズeライブラリは、クラスの学習履歴を教師側から即時に確認できるのが、本当に便利だと思います。 単元も細かく区切られているので、プリントやドリル教材を探す手間がほとんどありません。あとは、今回のように1年生からしっかりと学習履歴を蓄積していけばデータも充実していますし、6年間経って6年生時にはどんな姿を見せてくれるのかが楽しみですね。 4年生はこれからも使い続けてくれると思いますし、5年、6年となったときの子どもの成長を僕も楽しんでいけたらなって思います。
ラインズeライブラリは、クラスの学習履歴を教師側から即時に確認できるのが、本当に便利だと思います。 単元も細かく区切られているので、プリントやドリル教材を探す手間がほとんどありません。あとは、今回のように1年生からしっかりと学習履歴を蓄積していけばデータも充実していますし、6年間経って6年生時にはどんな姿を見せてくれるのかが楽しみですね。 4年生はこれからも使い続けてくれると思いますし、5年、6年となったときの子どもの成長を僕も楽しんでいけたらなって思います。
本記事の情報は取材時(2025年度)のものです。