熊本県 八代市立八代小学校
ふりかえりの時間にeライブラリ!~対話的な学びを通して深まった自分の考えをまとめる~
八代小学校では、「主体的に課題解決に向かう子どもを育てるICTを活用した授業づくり」を研究テーマに、全学年で『学び合い』に重点を置いて研究を進めています。今回は、前時の復習と本時の予習、終末場面のふりかえりでeライブラリを活用した6年生の授業の様子をご紹介します。
eライブラリのドリルで、主体的に予習・復習
▲ 毎時間の授業前にドリルに取り組む
この日は、授業前にeライブラリのドリルを使って、前時の復習と本時の予習をしました。児童は、保管庫からタブレットを取り出し、eライブラリにログインすると、学習範囲を自分で決めて、主体的にドリルに取り組みます。
「eライブラリのドリルを使った学習は、児童それぞれが学習したことや学び足りないことを補うときに、非常に役立ちます。」と樋口先生。児童は、授業開始のチャイムが鳴るまで、真剣に取り組んでいました。
課題提示から議論までの流れ
▲ 全体に考えを共有する
<社会> 単元:世界の中の日本 「世界の人々とともに生きる」
授業前にeライブラリのドリルに取り組むことで、授業時間内で、児童が考えたり、議論したりする時間をしっかり確保できます。その結果、新たな考えも挙がりやすく、議論を重ねながら、考えを深めることができるようになっています。
インタビュー
eライブラリの役割と効果的な活用
「主体的・対話的で深い学び」の中で、私は、一番大切なのは「主体的な学び」だと思っています。「主体的な学び」が抜けると、対話的な学びも深い学びも実現できません。最近では「主体的な学び」は、「自己調整力」や「自律的な学び」と言われ、子どもたちには何ができて、何ができないのかを「自分なりに考えて実行する力」が求められています。eライブラリのドリルは、自分の「わかるところ」と「わからないところ」をはっきりさせ、わからないところを追求させるために活用でき、主体的な学びの実現には重要な役割を担っていると思います。
6年2組 担任
樋口 勇輝 先生
ふりかえりで、考えの深まりや広がりを確かめる
▲eライブラリの「今日のふりかえり」に入力する
<ねらい> 考えの深まりや広がりなどの学習状況を先生や児童自身が掴むことができる
終末場面のふりかえりは、eライブラリの「今日のふりかえり」を使って、「わかったこと」や「気づいたこと」を入力します。「ふりかえりには、自分の学びの変容や成長したことを自分自身で気づく良さがあります。」と樋口先生。ふりかえりには、「最初はこのように思っていたけど、みんなの意見を聞いて考えが変わった」という気づきを書いている児童もいました。
eライブラリ活用のねらい
ドリルに取り組ませ、自分の「わかるところ」と「わからないところ」をはっきりさせ、わからないところを追求する。
先生の工夫
考えの深まりや広がりを確かめるために、児童にふりかえりをさせる。
ふりかえりで得た、子どもたちの変容や気づきを、授業の中で一覧比較しながら即確認し、授業に活かす。
インタビュー
学校の教育方針と学び合いの充実
子どもたちは、学校生活の中で「先生分かったよ」「先生できたよ」という姿が一番生き生きしています。子どもたちの喜びの笑顔を大事にしていきたいと考え、本校では【子どもが「分かる!」「できる!」を実感できる授業の創造】を基本方針としています。
新学習指導要領に明示されている主体的・対話的で深い学びは、簡潔に言うと「つながる」だと考えています。そのため、子どもたちが「分かる!」「できる!」を実感できるよう、子ども同士が授業の中でつながる、子どもと教員がつながる、授業がつながる、これまでのアナログ的な側面とこれからのデジタル的側面がつながる、といった「つながりのある教育活動」を目指しています。
教員は、学級活動(話し合い)を基盤として、道徳で語り合い、教科で学び合いを意識して、関連付けた指導をしています。そのかいもあり、子どもたちは、考えを自分の言葉で相手に伝えることができるようになり、教科での学び合いが充実しています。
校長
渕上 一博 先生
対話を重視した「学び合い」
<社会> 単元:世界の中の日本 「世界の人々とともに生きる」
めあて:世界で活躍する人々の思いや願いについて考えよう。
授業の流れ
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1. 授業前に、保管庫にタブレットを取りに行く
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2. 授業前に、ドリルで前時の復習、本時の予習をする
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3. 大型モニタに提示された資料で、学習課題を掴む
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4. 先生からの発問に対し、根拠を示しながら、発表する
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5. 友達同士で考えを共有し、さらに深める
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6. 深まった考えを全体に共有し、議論する
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7. 動画教材を視聴し、国際協力に貢献する人々の思いや願いを実感する
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8. ふりかえりをして、考えの深まりや広がりを確認する
児童の考えを引き出す、課題提示
▲ 資料を見せて、学習課題を提示する
<学習課題> 世界で活躍する人々はどのような共通した思いや願いをもって活動しているのだろうか。
まずは、授業前にeライブラリのドリルで前時の復習、本時の予習をします。そして、前時のふりかえりから授業が始まり、本時の学習課題の提示に進みます。先生は、課題を焦点化するためと、考えを引き出すために、矛盾や葛藤を感じ、困惑をもたせる資料を提示しています。児童は、実経験や予習で学習したことを根拠に、自分の考えをノートにまとめていました。
根拠をもって、考えたことを伝え合い、練り上げながら深める
▲ 個人の考えをしっかり全体に伝える
学習リーダーが中心となり、自分の考えを共有します。予習で自分の考えをしっかりまとめているため、とても多くの手が挙がりました。発表者は、自分の生活の中での経験や予習でインターネットや書籍などで調べたことを根拠に考えを共有します。クラス全体からは、「同じ考え」「反対の考え」「他の考えがある」など、さまざまな視点の考えが共有され、一人ひとりの考えも練り上げられ、次第に深まっていきます。
思考を可視化することで、学びを見取る
▲ 児童の考えを板書して、視点を整理する
児童から挙がるさまざまな視点の考えを、樋口先生は、マッピングやキーワードを使いながら板書します。児童の思考を可視化することで、バラバラになった視点をまとめる工夫をしていました。
また、自分と同じ考えにネームカードを貼らせることで、発表をしていない児童も全体に考えを共有し、クラス全体で学んだことを見取れるようにも工夫をしていました。
新たな考えを取り上げ、さらに深める
▲ 学習課題を確認し、児童に意識させる
国際協力を行っている人々への思いや願いについて、考えを共有する中で、児童から「上から目線はダメ」という考えが出てきました。「子どもたちが自分の考えを伝え合い、練り上げていくなかで、新たな議論が生まれました」と樋口先生。
児童が本時の課題解決に向かって考えられるように、「自分の立場を明確にする」「どのような共通した思いや願いをもっているのか」を意識するよう声かけをすると、再び考えの共有が始まりました
動画とeライブラリのふりかえりで、学びの高まりを実感
▲ 先生が作成した動画を視聴する
<ねらい> 国際協力に貢献する人々の思いや願いを実感する
まとめは、みんなで考えたり、新しく議論したりしたことをふりかえりながら動画教材「ピースボールアクションタイランド」を視聴します。児童は、国際協力に貢献する人々の思いや願いを、自分の考えと比較しながら確かめました。
動画とeライブラリのふりかえりで、学びの高まりを実感
▲ eライブラリの「今日のふりかえり」の内容を全体で共有する
まとめの最後は、eライブラリの「今日のふりかえり」を使って、「わかったこと」や「気づいたこと」を入力します。児童には、自分の言葉でしっかりまとめる力が身についています。まとめた内容は、大型モニタに提示して、全体に共有します。この「何がわかったかを自分で気づく」ふりかえりが児童のやる気につながり、次の学習につながっていきます。
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