熊本県 八代市立東陽中学校
生徒が主体的の授業と学びの見取り~知識構成型ジグソー法にeライブラリを活用~

 東陽中学校では、「自律貢献」を教育目標に掲げ、主体的に考動し、地域社会に貢献する生徒の育成を目指しています。今回は、授業での活用と学習結果を学習評価の参考にしている実践をご紹介します。
(eLAつうしん 2024年4月号)

授業の導入は、歴史のつながりを意識しながらドリルで復習

▲ 前時の学習内容を復習する

<歴史>1年:ユーラシアの動きと武士の政治の展開 モンゴルの襲来

<ねらい>モンゴル襲来後の社会の変化について考えよう!

 この日は、eライブラリのドリルで、前時の復習からスタートです。「前時は、モンゴルが襲来してきたときの時代背景を学習しましたが、基礎的な知識が身についていないと、本時の内容に結びつきません。eライブラリは、基礎的な知識を定着させることがねらいです」と丸山先生。前時の学習範囲のドリルが出題されると、生徒は、時代背景や事象のつながりを意識して真剣に取り組みます。つまずいた問題は、解説教材で要点を確かめ、リトライを使って繰り返し学習していました。

学習課題を提示してから全体発表までの流れ ~知識構成型ジグソー法~

<学習課題>なぜ鎌倉幕府は、ほろんだのだろうか

 導入にドリルで復習することで、人名や年号、事象などの基礎的な知識を身につけることができます。その結果、グループワークのとき、テーマに沿ってさまざまな視点で思考でき、活発な意見交換が展開されます。

単元を三つに分解してグループワーク!伝え合う力を培う

 ドリルが終わると、学習リーダーが全体の進行役となって、グループワークが始まります。テーマについて、各々が教科書の範囲からポイントやきっかけとなる事象などを見つけ、協働学習ソフトにまとめていきます。要点が伝わりやすいように、説明に下線を引いたり、教科書の写真を使ったり、さまざまな工夫をしていました。途中、丸山先生は、ヒントカードを提示して、生徒の考えを広げていきます。友達同士で意見を出し合うことで、さらに学びが深まっていきました 。

「深める言葉」で、探究心と積極性が高まる

 丸山先生は、「深める言葉」カードを持って各グループを回り、生徒に問いかけをしていきます。生徒からは「御家人の生活が苦しくなった理由をもう一度確認しよう」「他に理由はないかな?」と確認や視野を広げようとする声が挙がりました。丸山先生の問いかけがきっかけで、生徒の探求心が高まり、積極的に取り組む姿が見られました。

グループで全体共有!テーマごとに思考を可視化

▲ グループごとに発表し、先生が板書にまとめる

 意見交換が終わると、グループごとに調べたことを発表します。発表を聞いた生徒からは、これまで学んできた知識を基に、次々と意見が挙がります。生徒から挙がる意見を聞いて、丸山先生は年号や事象が起こった理由などを板書して、それぞれのテーマをつないでいきます。ジグソー活動を用いることで、生徒も事象の関係性を捉え、より一層、理解が深まっているようでした。

授業の終末は、ドリルで本時の復習

▲ 本時の学習範囲をドリルで復習・定着

 発表のまとめが終わると、ドリルで本時の学習内容の復習です。丸山先生は、その場で学習範囲のドリルを出題します。ジグソー活動を通じて、理解が深まったこともあり、それぞれの事象の関係性を意識しながら、積極的に取り組んでいました。
 100点がとれると、生徒の表情からも笑みがこぼれ、出題された課題をテンポよく、自分のペースで進めていました。

「今日のふりかえり」で、学びを整理して、次の学習へ生かす

▲ 「今日のふりかえり」を入力する

 授業の最後は、eライブラリの「今日のふりかえり」で学んだことや気づいたこと、もっと知りたいことをまとめます。生徒は学習の後に、ふりかえりをする習慣が身についており、全員が自分の言葉で、この1時間で学んだことを入力していました。
 「ふりかえりを重ねるごとに、内容も充実してきました」と丸山先生。授業が終わってから一人ひとりにコメントを返信しているとのことです。

▲ 学んだことや気づきを全体に発表する

一人ひとりの学習結果を見取り、授業づくりに生かす

 生徒の学習結果は、「学習指示一覧」から確認しています。「正答率」から見られる各学習要素の理解度と、「時間」から見られる解答時間を、総合的に見て8割まで定着したら、次の学習内容に進んでいくとのことです。
 この日も、生徒がドリルで学習している間に、「学習指示一覧」から取組状況をモニタリングして、きめ細やかな机間指導をしていました。

自己調整学習を「主体的に学習に取り組む態度」へ位置づける

▲ 確認テスト後に復習教材をナビゲーション

 社会では、単元のふりかえりの時間と位置づけ、単元末にeライブラリの「確認テスト」を実施しています。生徒は、結果からナビゲーションされる復習教材で、つまずきを洗い出し、自分に合った学び方で復習します。そして、単元のまとめの時間に、もう一度同じ「確認テスト」を実施して、さらに理解を促します。「紙媒体では、主体的な様子が見えづらいですが、eライブラリは、自らの学びを調整しながら取り組む姿が見取れ、成績をつけるときの指標になります」と丸山先生。自分にとって必要な学びを調整しながら学習する姿勢を「主体的に学習に取り組む態度」に反映しているとのことです。

インタビュー

「自律貢献」をスローガンに、自発的・自治的な生徒の育成

 本校の生徒は、『自律貢献』というスローガンの基、「日本遺産中学生ボランティアガイド」をはじめ、さまざまな貢献活動に取り組んでいます。学校は、自分の良さを伸ばし、社会の形成者となる資質を身につけるところです。そのため、「進んで社会に貢献する生徒の育成」を信条として、本校では、特別活動を重視し、生徒の自主的・実践的な活動を取り入れ、自発的・自治的な集団をつくる力を育てています。
 eライブラリは、「学習内容の定着」「家庭学習の習慣化」を図るためのツールと位置づけており、つまずきの学び直しや定着度の確認に活用しています。また、別室登校の生徒にも学びを保障することができ、苦手の復習や興味のある内容の予習として大変効果的だと感じています。

校長 松本 卓也 先生

インタビュー

少ない手数で、最高のパフォーマンスを生徒へ提供

 これまで、授業の冒頭に紙媒体の小テストを実施していましたが、教材準備に時間を要していました。eライブラリの教材は、教科書の太字部分の重要語句や基礎基本事項が網羅されており、紙媒体の小テストと置き換えて活用を始めました。また、高校入試では、採択教科書で扱わない問題が出題されることがあります。eライブラリは、豊富な問題に触れられるため、高校入試を見越した学習を、少ない手数で、生徒に提供できます。今では、授業での活用場面が確立し、生徒の学力にも前向きな変化を肌で感じています。

社会科 丸山 喬大 先生

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